本番に弱い人のメカニズムーザイアンスの動因理論
ピアノやバイオリンの発表会、会社のプレゼン、就職の面接、いつも練習では問題なくできているのに、いざ本番になるとなぜか力を発揮できないという悩みを抱えている人は少なくありません。
この原因を探るヒントに、ザイアンスの「動因理論」があります。
「動因理論」とは、アメリカの社会心理学者ロバート・ザイアンスが提唱したもので、次のようなものです。
・人は見物者がいると、一人の時よりも意識が目覚めた状態になる
・こうした状態では、活動に対する動因が高まり「優勢反応」が起こりやすくなる
(優勢反応とは、いつも生じている反応)
・その結果、習熟した課題は正反応が、未習熟の課題は誤反応が多くなる
つまり、周りに人がいる状態で何かを行う場合、簡単で得意な課題なら見物人がいた方がスムーズにできる一方で、複雑で苦手な課題は一人でいる時より失敗しやすいということです。
たとえば、バイオリンの練習を自宅で行っているときは、他人の目を気にせずにリラックスして弾けるので、難しい箇所もある程度上手く弾けます。
しかし、発表会などの大勢の前では、優勢反応(いつもの反応)が生じ、簡単な箇所は他人の存在が適度な緊張感になってうまく弾けるのですが、完璧に弾きこなせない箇所は、一人でいるときよりミスの確率が高くなってしまうのです。
したがって、たとえ練習で成功していたとしても、その課題を普段から完璧にできていない限り、他人がいる場所では失敗しやすいということになります。
では、本番に弱い自分を克服するにはどうすればいいか・・・
それは「複雑で苦手な課題」を「簡単な課題」にできればいい訳です。
すべてが「簡単な課題」となっていれば、本番でそれが「いつもの反応(優勢反応)」となり、人前でも失敗なくできるはずです。
そのためには、体に染み込むくらい何度も練習するしかありません。
バイオリンでうまく弾けない箇所は、簡単に弾けるようになるまで繰り返し練習することが大切です。
千里の道も一歩から・・・といいます。
早速、苦手課題の練習、始めましょう。